日本東洋医学雑誌
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臨床報告
出産後のドケルバン病・手根管症候群に対する当帰芍薬散での治療経験
福嶋 裕造塩田 敦子多久島 康司藤田 良介戸田 稔子船越 多恵三明 淳一郎
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2019 年 70 巻 3 号 p. 236-239

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抄録

ドケルバン病や手根管症候群は産後に多く起こる問題である。妊娠の影響でホルモンのバランスが崩れ腱鞘炎になりやすい上に出生児の世話で手をよく使うために症状が出やすいと考えられる。今回,出産後にこれらの症状を訴えた4例を報告する。症例は全例女性で,33歳から39歳であり,全例出産後に授乳を行っていた。診断はドケルバン病が1例,手根管症候群が2例,ドケルバン病と手根管症候群の合併が1例であった。全例に当帰芍薬散を投与した。全例に疼痛が軽快または消失して,手根管症候群の軽度のしびれは残存している。授乳中の治療中に使用できる薬剤は限られるが,当帰芍薬散は安全に使用できて有効な薬剤であると考えられた。

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© 2019 一般社団法人 日本東洋医学会
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