日本東洋医学雑誌
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臨床報告
偽痛風の急性発作に対して防風通聖散と黄連解毒湯の併用が有効であった1症例
福嶋 裕造藤田 良介上野 力敏山下 和彦内海 康生清水 知己大森 あさみ杉原 徳郎
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2019 年 70 巻 3 号 p. 278-282

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抄録

偽痛風は高齢者によく発症する結晶性関節炎である。今回,偽痛風の急性発作に対して防風通聖散と黄連解毒湯の併用が有効であったので報告する。症例は87歳男性であり,左手関節痛があり経過をみていたが疼痛が続くため発症2日目に当院を受診した。理学所見では左手関節の圧痛を認めた。左手関節単純レントゲンで軽度の石灰化を認め,血液検査で炎症所見があり,手関節の偽痛風による急性発作と診断した。防風通聖散と黄連解毒湯を併用して投与したところ徐々に症状が軽快していった。初診3日後には左手関節痛が消失し,初診9日後には炎症所見も正常化した。防風通聖散と黄連解毒湯の併用は偽痛風の急性発作に対して有効であると考えられた。

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© 2019 一般社団法人 日本東洋医学会
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