日本東洋医学雑誌
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臨床報告
分子標的治療薬による皮膚障害への十味敗毒湯と黄連解毒湯の使用経験
森 光輝廣瀬 達也田中 孝治竹田 亜子宇野 雅博高木 肇
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2020 年 71 巻 1 号 p. 30-35

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抄録

分子標的治療薬の副作用は,殺細胞性抗がん薬とは異なりざ瘡様皮疹や斑状丘疹状皮疹などの皮膚障害が高頻度に発現し,臨床的に問題となる場合がある。今回,尋常性ざ瘡への有効性が報告されている十味敗毒湯と黄連解毒湯を,分子標的治療薬による皮膚障害に対して投与し,その投与状況や効果について検討した。2013年6月から2017年6月に,分子標的治療薬の皮膚障害に対してJHT+OGTが投与された患者を対象とした。評価項目はJHT+OGT服用前後の皮疹のgrade(CTCAE v4.0)とした。対象患者22例においてJHT+OGT服用前後の皮疹はgradeの中央値2から1へと有意に改善が見られ(p =0.011),改善が14例,維持が6例,悪化が2例であった。今回,分子標的治療薬による皮膚障害に対するJHT+OGTは,治療法の選択肢の一つとなり得ることが示唆された。

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© 2020 一般社団法人 日本東洋医学会
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