日本東洋医学雑誌
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臨床報告
精神疾患を有する患者の月経随伴症状に対して漢方治療が長期間有効であった3例
小宮 ひろみ鈴木 朋子海老 潤子中野 裕子北村 拓也安斎 圭一三潴 忠道
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2020 年 71 巻 1 号 p. 41-47

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抄録

精神疾患を有する患者の月経随伴症状に対し,漢方療法にて長期間症状をコントロールできた3例を経験した。 症例1:39歳 当院心身医療科で持続性気分障害の治療中,月経前気分不快障害を認め緊急入院となり,当科紹介となった。桃核承気湯から開始,駆瘀血剤と柴胡剤を証に応じて処方継続し,月経前症状は軽減した。症例2:29歳 統合失調症の加療中,月経痛及び月経前気分不快障害を認め心身医療科から当科紹介となった。陽証時には加味逍遥散,女神散や駆瘀血剤と柴胡剤の併用,陰証時には人参湯と大建中湯による加療にて月経痛は消失し,月経前の精神症状は軽減した。症例3:37歳 境界型パーソナリティ障害・注意欠如多動性障害で当院心身医療科入院中,月経痛と月経前症候群のため当科紹介となった。桂枝茯苓丸と半夏厚朴湯の投与により徐々に改善した。精神疾患を有する患者の月経随伴症状の治療法として,証に応じた漢方療法は有用である。

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© 2020 一般社団法人 日本東洋医学会
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