日本東洋医学雑誌
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臨床報告
感染性表皮嚢腫(感染性粉瘤)に対する排膿散及湯の有効性の検討
具志 明代田原 英一
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2021 年 72 巻 4 号 p. 354-360

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抄録

局所麻酔下切開排膿適応の感染性表皮嚢腫(IEC)患者125例(男性52例 女性73例)に対して排膿散及湯(HST)内服治療を行い,感染兆候軽快後1年再発のないものを略治とし,略治率,略治までの日数について性別,年齢,罹患部位,抗菌剤併用有無,基礎疾患の有無で後ろ向き研究を行った。結果は全体としては88例(70%)が略治した。性別検討では男女差はなかった。年齢別検討では30—50歳代で脱落が多く,この年代でやや略治率は低い傾向であった。部位別検討では略治率が背部・臀部以外群で63例/78例中(80%)であり有意に高かった。同群の平均内服日数は13.3日だった。抗菌剤併用について,略治率は併用群が高い傾向だったが,平均内服日数は HST 単独群が11.9日で HST 単独群が有意に短かった。基礎疾患群は24例中21例(87.5%)略治し通常群に比べ有意に高かった。平均内服日数に有意差はなかった。

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© 2021 一般社団法人 日本東洋医学会
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