日本東洋医学雑誌
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臨床報告
新型コロナウイルス感染症罹患後の著明な全身倦怠感やブレインフォグなどの諸症状に対して漢方治療を行って職場復帰できた1例
吉永 亮原田 直之牧 俊允井上 博喜矢野 博美田原 英一
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2022 年 73 巻 3 号 p. 335-341

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抄録

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後に著明な全身倦怠感を訴えた患者に対して漢方治療を行い職場復帰できた1例を経験した。症例は21歳男性。X 年8月上旬,COVID-19と診断され8日間,経過観察のため入院した。1ヵ月後,日常生活が困難なほどの著明な全身倦怠感が持続し,冷え,浮動感,集中力の低下などを伴い9月上旬から入院して漢方治療を行った。強い冷えと全身倦怠感に対して茯苓四逆湯を開始,入院2週目から水毒と血虚に対して連珠飲へ転方した。全身倦怠感,浮動感が改善傾向で3週間で退院した。10月中旬,胃もたれと抑うつが出現したため,加味帰脾湯合半夏厚朴湯へ転方し,八味丸20丸を追加した。11月には4.5km の散歩ができて,QOL が改善し12月から職場復帰できた。全身倦怠感,ブレインフォグなどをきたす COVID-19罹患後症状に対して漢方治療は積極的に試みるべきである。

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© 2022 一般社団法人 日本東洋医学会
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