感染症後の精神症状に対して,竹筎温胆湯が有効だった2症例を報告した。
症例1は普通感冒に罹患後のうつ状態で,洋薬による標治に反応せず,漢方薬による本治法で治癒に至った。症例2はインフルエンザに罹患後のせん妄で,温胆湯類が著効した。
うつ病の病因論に炎症性神経障害仮説があり,脳内炎症に対して NSAIDS の臨床応用を検討した報告もあるが,まだ創薬は端緒についたばかりである。一方,漢方薬の構成生薬には抗炎症作用が認められており,本症例が治癒に至った要因の一つと考えられた。
新型コロナウイルス感染症(COVID—19)に罹患後の精神症状に対しても,本方剤が鑑別処方の一つとなる可能性が示唆された。
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