日本東洋醫學會誌
Online ISSN : 1884-202X
ISSN-L : 0468-2548
鍼の基礎的諸問題に關する理論的研究第3報
鍼の處方に關する研究 (1)
平方 義信
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1953 年 4 巻 1 号 p. 15-18

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抄録
著者は鍼の処方に関しての理論的研究により, 從来の鍼に関する考え方が処方構成要素の一つである対象に就いて何等の顧慮を拂つていない欠陷を明らかにし, 鍼の処方に於いては対象に対しての相対性と言う事がその特異な性質として理解されなければならないと述べた. 然して鍼の効果が多方面に亘ると言う事は, 対象の性質に関する問題であり, 或る効果を期待するならば之に対応した刺激点を撰択しなければならない事, 及びその撰んだ対象の性質に応じて適当な量の刺激を与える事が必要である. 刺激の量として吾々の持つている表示法は不完全であり, 之の点は対象に対する相対運動として表示される様にす可きであり, 且つ相対運動と刺激との関係, 及び刺激に対する組織の反応態度等の実験的研究が要求される. 処方と効果との関係に就いても, 効果と言うものは対象の持つている要求と, 与えた処方との近似の程度が唯一の問題であつて, 此の相対的関係を離れた単純な諸因子と効果との直接的な結び付きは認められない.
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© 社団法人 日本東洋医学会
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