2007 年 44 巻 5 号 p. 315-325
本研究では、授業参加に困難を示す、広汎性発達障害が疑われる小学校3年の男児に、トークンエコノミーシステムとクラスワイド社会的スキルトレーニングを適用した介入パッケージを用いて、担任が通常学級内で支援を行った。その際に、担任の実行条件を考慮した。9か月間の支援の結果、授業中の対象児の行動問題は減少した。しかし、グループ学習や行事のように見通しをもちづらい場面では、行動問題が観察された。また、アンケート結果から、担任の負担は大きくなかったという評価が得られた。以上のことから、適切な行動を学習させることによって行動問題が減少したこと、担任の実行条件の中に打ち合わせの時間の確保も入れる必要性があったこと、効果が実証されている支援方法を、学校教育現場で適用できるように再構成し、週1回の巡回指導と保護者との連携の中で実施していけば、十分効果が得られることなどが示唆された。