日本東洋医学雑誌
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小腸X線像による漢方方剤の検討
殊に桂枝加芍薬湯, 小建中湯および半夏瀉心湯について
徳留 一博
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1984 年 35 巻 2 号 p. 95-104

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抄録

近年, 漢方医学の「証, 方剤」の研究が各分野で行われているが, 特に各種疾患と方剤の有効性などについての研究などが多数であると思われる。
漢方治療の優れた効果の期待できるものに, 消化管の機能異常があり, 多くの方剤が使用されている。これらの方剤の使用は証によってなされている。しかし, 証の客観的表現は今後の課題であり, 使用方剤の構成生薬のそれぞれの薬理作用を介して, 証を構成している病態の推定がなされている。
小腸は腹腔の大半を占め, 食物の移送, 消化吸収に重要な役割を演じており, 腹証形成に大きく関与していると考える。今回, 小腸X線像による漢方方剤の検討を行い, それをとおして, 方剤のもつ証の客観的表現を試みた。桂枝加芍薬湯, 小建中湯, 半夏瀉心湯の小腸X線像の検討より, これらの方剤の構成生薬より考えられている腸管の動きの, X線学的説明を試みた。

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