日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
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35 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 後藤 實, 長尾 弓郎
    1984 年 35 巻 2 号 p. 77-85
    発行日: 1984/10/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    歴代本草書に記されている漢薬大黄の効能, 効果は極めて多岐にわたっている。近時, 化学的, 生物学的研究の発展と相まって, 大黄のこれらの効果が科学的に解明されつつあることは極めて有意義なことであり, 本分野の研究がさらに発展することを期待する。他方, 現在繁用される大黄処方剤には便秘ならびに便秘に伴う諸症状の改善を期待するものが多い。大黄の緩下作用に関する研究は成分, 作用の面からかなりの進展が見られ, これらの応用によって品質評価も可能になった。輸入に依存する大黄にはその品質を含めいろいろの問題点が存在するが, 漢薬資源確保の一手段として国内での栽培が考えられる。武田薬品研究所では数10年の年月を費し, 栽培研究を続けその完成を見, 生産栽培の域に到達した。信州大黄と呼ばれるものがそれである。本報では基礎研究から生産栽培に至る経過の概要を記し, 大黄を一例としてこの種漢薬確保のための研究, 栽培の一端とその意義について述べる。
  • 藤平 健
    1984 年 35 巻 2 号 p. 87-94
    発行日: 1984/10/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
  • 殊に桂枝加芍薬湯, 小建中湯および半夏瀉心湯について
    徳留 一博
    1984 年 35 巻 2 号 p. 95-104
    発行日: 1984/10/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    近年, 漢方医学の「証, 方剤」の研究が各分野で行われているが, 特に各種疾患と方剤の有効性などについての研究などが多数であると思われる。
    漢方治療の優れた効果の期待できるものに, 消化管の機能異常があり, 多くの方剤が使用されている。これらの方剤の使用は証によってなされている。しかし, 証の客観的表現は今後の課題であり, 使用方剤の構成生薬のそれぞれの薬理作用を介して, 証を構成している病態の推定がなされている。
    小腸は腹腔の大半を占め, 食物の移送, 消化吸収に重要な役割を演じており, 腹証形成に大きく関与していると考える。今回, 小腸X線像による漢方方剤の検討を行い, それをとおして, 方剤のもつ証の客観的表現を試みた。桂枝加芍薬湯, 小建中湯, 半夏瀉心湯の小腸X線像の検討より, これらの方剤の構成生薬より考えられている腸管の動きの, X線学的説明を試みた。
  • 東洋医学における臨床科学化に関する研究
    小林 詔司, 森 和
    1984 年 35 巻 2 号 p. 105-114
    発行日: 1984/10/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
  • この問題多き薬方について
    藤平 健
    1984 年 35 巻 2 号 p. 115-122
    発行日: 1984/10/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
  • 雪村 八一郎
    1984 年 35 巻 2 号 p. 123-130
    発行日: 1984/10/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    未治療の甲状腺機能亢進症患者19名を4群にわけた。対照群には, メチマゾール, プロプラノロールによる治療を行い, 他の3群には, それぞれ灸甘草湯, 柴胡加竜骨牡蠣湯, 桂枝加竜骨牡蠣湯エキス剤の併用を行った。灸甘草湯を併用した群では, 治療初期には血中サイロキシンの, 治療全経過を通じては血中トリイオドサイロニンの下降率が, 対照群に比し有意に増大していた。このことから, 灸甘草湯は, 血中甲状腺ホルモン値を下降させることにより, 甲状腺機能亢進症の治療上有効であることが示唆された。
  • 寺沢 捷年, 松田 治己, 今田屋 章, 土佐 寛順, 三潴 忠道, 鳥居塚 和生, 本間 精一
    1984 年 35 巻 2 号 p. 131-136
    発行日: 1984/10/20
    公開日: 2010/09/28
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチと全身性進行性硬化症の合併症例に対し, 自家製の桂枝茯苓丸を投与したところ, レイノー現象と手指屈曲制限が著しく改善した。この効果が桂枝茯苓丸によるものであることを急性投与実験により明らかにした。この効果は同一生薬を用いた水煎剤では得られず, 丸と丸料との相違を示唆する所見である。今後は剤型の相違による適応病態の差異について慎重に検討すべきものと考える。
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