日本東洋医学雑誌
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心下痞鞭とその関連症状に関する研究
土佐 寛順寺沢 捷年今田屋 章
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1985 年 36 巻 3 号 p. 159-164

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抄録

心下痞鞭の診断学的意義を明らかにする目的で, 心下痞鞭に伴って出現する自他覚症状について検討した。有意に相関して出現する消化器症状は食欲低下, 嘔気, 心下痞, 下腹部の腹満感であった。また全身的な自覚症状としては, 肩凝り, 背部痛, 易疲労, 四肢関節の痛みが心下痞鞭と併存することが明らかとなった。腹部他覚症状のうち心下痞鞭と有意に相関するものは, 左・右の胸脇苦満, 濟傍圧痛 (右) であった。さらに下腿浮腫とも有意に相関した。また腹部単純レ線像でみる胃の形態のうち, 体部前庭部にガス像があり皺壁像のみられるものとの間に有意の相関が得られた。
これらの併存する自他覚症状を総合すると, 心下痞鞭は「湿」に侵された生体が腹部で呈する, ひとつの反応ではないかと考えられた。

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