日本東洋医学雑誌
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外耳道炎に対する中黄膏治療経験
鎌田 慶市郎
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1989 年 39 巻 3 号 p. 197-200

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抄録

消炎作用を示す外用方剤中黄膏に福地石海が消炎効果の増強をはかって山梔子末を加味した中黄膏・福地石海 (福地中黄膏) の外耳道炎に対する治験を実施した。
昭和62年6月から9月までに来院した同疾患患者82例を福地中黄膏単独使用群 (F-I群), 消炎鎮痛剤併用群 (F-II群), 消炎鎮痛剤および抗生剤併用群 (F-III群) の3群に分け, 対照として昭和60年同期間内の同疾患患者190例をグアヤアズレン軟膏使用群 (A-I群), 消炎鎮痛剤併用群 (A-II群), 消炎鎮痛剤および抗生剤併用群 (A-III群), とにわけ, A-I群とF-I群, A-II群とF-II群, A-III群とF-III群とについて, それぞれの平均治癒日数を Fisher 確率検定, χ2検定法を用い比較検討した。
治療期間は対照3群とそれぞれに対応した治験3群との間に有意差は認められなかった。したがって中黄膏・福地石海とグアヤアズレン軟膏の薬効に差がないといえる。また単独使用で充分な薬効が期待できるし, 副作用はごく軽度であり, 安全性の高い薬剤といえる。

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