日本東洋医学雑誌
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小児の気管支喘息の発作時における五苓散の有効性
大宜見 義夫
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1992 年 42 巻 3 号 p. 353-359

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抄録

気管支喘息の発作で来院した小児例 (男児24例, 女児17例) について, 五苓散の投与 (内服もしくは注腸) を行い, 気管支喘息発作に対する効果の判定を行った。五苓散はカネボウのエキス剤 (1包2g) を用い, 体重別に10kg未満で1/3包, 10kg~15kgで1/2包, 15kg~25kgで2/3包, 25kg以上で1包を発作来院時に投与し, 投与5~15分後に自覚的・他覚的所見の改善の有無をチェックし, 効果の判定を行った。対象例41例中, 有効20例, やや有効9例, 不変12例の結果を得た。検討の結果, 下記の状態の喘息発作の場合, 五苓散が即効的効果を有するように思われた。即ち, 聴診上, 呼吸音の増強や乾性ラ音があったり, 呼吸が促迫し, から咳をしている場合は五苓散の有効性が高い。腹部所見として振水音もしくは心下満, 臍上悸がある場合も五苓散の有効性が高い。
なお, 口渇, 尿不利, 悪心・嘔吐の有無によっては, 有効性に差をみることもできなかった。

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