日本東洋医学雑誌
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42 巻, 3 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 松下 嘉一
    1992 年 42 巻 3 号 p. 301-306
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
  • 溝口 靖紘, 市川 裕三, 河田 則文
    1992 年 42 巻 3 号 p. 307-311
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
  • とくに血管内皮細胞賦活作用と尿中6ヶトプロスタグランジンF1α排泄量増加作用の関与について
    関 正威, 藤岡 正志, 羽田野 隆, 池田 宏
    1992 年 42 巻 3 号 p. 313-322
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    五苓散の循環・代謝・利尿作用に及ぼす調整作用を, 胆石症ないし胆嚢ポリープのために胆嚢摘除術を受けた58例の女性患者について, 血中ナトリウム濃度, 末梢血中の血小板数および尿中6ヶトプロスタグランジンF1α排泄量の周術期の推移を分析することによって研究した。
    五苓散の服用によって, プロスタグランジンI2産生の増加, それによる循環と代謝の刺激および一部は腎血管拡張による利尿作用の増進が示すように, 血管内皮細胞は活性化されると考えられた。尿中の6ヶトプロスタグラジンF1αは, 血中のプロスタグラソジンI2の代謝産物であり, また腎髄質の間質細胞や腎集合管上皮細胞によって分泌され, 抗利尿ホルモンを抑制することによって利尿作用を調整すると考えられた。
    上記の現象は五苓散の代りに小柴胡湯を服用させたときには認められなかった。
  • 糖尿病の中西医結合の検討 (1)
    徐 正正, 水野 美淳, 田坂 仁正
    1992 年 42 巻 3 号 p. 323-329
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    日本人糖尿病 (DMと略) 130例について中医学的な証候を検討し, それと本症例群の一般状態, 初診時の合併症, 臨床検査成績などとの関係を推計学的に検討し, 次の成績を得た。
    1. DMの早期は傷陰である。
    2. 男性では易生湿, 女性では易傷陰である。
    3. 高血圧症を合併している場合はより傷陰で, 高コレステロール血症を合併している場合は湿邪の出現頻度が有意に少なかった。
    4. 飲酒は助湿, 喫煙は傷陰, 喫煙, 飲酒共にすれば, 湿邪と熱邪の同一症例に同時出現の頻度は有意に多かった。
    以上のように, DMにおいては, 早期には傷陰, 女性では易傷陰, 高血圧症合併の場合はより傷陰, 喫煙によっては陰虚の出現率が有意に多かった。したがってDM治療においては護陰滋陰が始終重要であり, 早期からこれに注目して対処することがDMの治療およびその合併症の予防・治療上重要と思われる。
  • 山上 裕章, 住田 剛, 橋爪 圭司, 奥田 孝雄
    1992 年 42 巻 3 号 p. 331-335
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    神経ブロック治療ではその改善がプラトーとなった腰部脊椎管狭窄症 (complete type) 7例に対し, 当帰四逆加呉茱萸生姜湯を投与した。対象は男性3例, 女性4例, 平均年齢は62.9±9.96歳で, 全例とも膀胱直腸障害などは認められず,主訴は下肢のしびれ・冷感・腰下肢痛だった。
    投与開始1ヵ月後に効果を判定したが, 著効1例, 有効2例, やや有効4例で, 無効・悪化例はなかった。日整会腰痛治療成績判定基準では12.3±3.45から18.3±3.04と有意の改善を認めた (p<0.01)。種々の治療を経てきた症例が対象のため著効は1例にすぎなかったが, 当帰四逆加呉茱萸生姜湯の末梢循環改善作用が奏効したと考えられる。
  • 実藤 隼人, 水野 修一
    1992 年 42 巻 3 号 p. 337-341
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    1日10回以上の水瀉性血性下痢を主訴として来院した37歳男性の重症潰瘍性大腸炎患者に漢方療法を試み, 寛解に導入することができた。方剤の主体は人参湯であり, 出血を伴う場合には〓帰膠艾湯を加えた。漢方のみでは充分に症状の改善がみられなかった時期には, 短期間であるが, 少量のプレドニゾロン (総量265mg) を併用した。寛解に到達するまでの期間は, プレドニゾロンを主体とする従来の投薬方法に比較して遜色ないものであった。初診時より3年4ヵ月経過後も人参湯のみで再燃はみられず, 経過良好で通常通り就労している。便潜血反応 (+) の時には〓帰膠艾湯を併用している。この間サラゾピリンは全く投与されていない。人参湯のもつ抗炎症作用が潰瘍性大腸炎の再燃防止に奏効しているものと思われる。
  • 高橋 宏三, 寺澤 捷年, 島田 多佳志, 三潴 忠道, 今田屋 章
    1992 年 42 巻 3 号 p. 343-347
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    十全大補湯が奏効した慢性関節リウマチ (RA) の1例を報告した。症例は74歳の女性, 20年来のRAで, 諸治療に抵抗して進行し StageIV, ClassIV, ムチランス型を呈していた。活動性の高度な状態が続き, 貧血も顕著にみられた。桂枝芍薬知母湯などで加療したが十分な効果が得られず, 著しい気虚および血虚の症候を手がかりに十全大補湯に転方しおところ, 徐々にRAの活動性が低下し, これに伴って貧血が改善した。また食欲が増進し, リハビリテーションも積極的に行うことが可能となり, 日常生活の自立が達成された。RAの漢方治療には麻黄剤や附子剤が広く用いられ, 十全大補湯は補助的な兼用方として用いられることが多く, 本方が主方となった治験例は中国の古典にあるのみで, 近年の報告はない。本例は証に随って漢方方剤を用いることの重要性と, 十全大補湯の抗リウマチ作用を示唆したものと考える。
  • 伊東 俊夫
    1992 年 42 巻 3 号 p. 349-352
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    副腎皮質ホルモン剤投与中に柴苓湯を併用したところ, 血清補体値が正常化し, 副腎皮質ホルモン剤の減量が可能になったSLEの症例を経験した。21歳, 女性。平成2年5月より全身倦怠感, 食欲低下, 発熱, 多発性関節痛, 皮疹が出現, 入院。水着の露出部にほぼ一致して皮疹あり。軽度の貧血とリンパ球数の減少, 軽度蛋白尿陽性, 軽度の肝機能障害を認めた。抗核抗体, LE細胞, LEテストの陽性, 抗DNA抗体の増加, 血清補体C3値の低下を認めた。lupus band test 陽性。SLEと診断し, プレドニゾロン30mg投与を開始。解熱, 関節痛, 皮疹消失。血清補体値の正常化, 抗核抗体, 抗DNA抗体の低下を認めた。プレドニゾロンを漸減したところ, 血清補体C3値の低下を示し, 柴苓湯を併用したところ, 血清補体C3値が正常化したので, さらに漸減可能になった。SLEの治療において, 副腎皮質ホルモン剤の効果が不十分な場合や減量の際に柴苓湯の併用を考慮されるべきと思われる。
  • 大宜見 義夫
    1992 年 42 巻 3 号 p. 353-359
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    気管支喘息の発作で来院した小児例 (男児24例, 女児17例) について, 五苓散の投与 (内服もしくは注腸) を行い, 気管支喘息発作に対する効果の判定を行った。五苓散はカネボウのエキス剤 (1包2g) を用い, 体重別に10kg未満で1/3包, 10kg~15kgで1/2包, 15kg~25kgで2/3包, 25kg以上で1包を発作来院時に投与し, 投与5~15分後に自覚的・他覚的所見の改善の有無をチェックし, 効果の判定を行った。対象例41例中, 有効20例, やや有効9例, 不変12例の結果を得た。検討の結果, 下記の状態の喘息発作の場合, 五苓散が即効的効果を有するように思われた。即ち, 聴診上, 呼吸音の増強や乾性ラ音があったり, 呼吸が促迫し, から咳をしている場合は五苓散の有効性が高い。腹部所見として振水音もしくは心下満, 臍上悸がある場合も五苓散の有効性が高い。
    なお, 口渇, 尿不利, 悪心・嘔吐の有無によっては, 有効性に差をみることもできなかった。
  • 千田 繁, 藤山 佳秀, 中川 雅夫, 馬場 忠雄, 細田 四郎
    1992 年 42 巻 3 号 p. 361-366
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    Abstract Combined treatment with high-dose methylprednisolone and Kampoherbal medicine (Xiao-Chai-Hu-Tang and Jia-Wei-Gui-Pi-Tang) brought about a striking clinical improvement in a 24-year-old woman with severe hepatitis-associated aplastic anemia. Laboratory findings on admission were summarized as follows: granulocytes 325/μl, erythrocytes 2, 450, 000/μl, platelets 10, 000/μl, bone marrow nucleated cells 27, 000/μl, and GPT 569IU/l. Neither anti-lymphocyte globulin, high-dose methylprednisolone alone nor oxymetholone was effective on any hematological finding although intravenous administration of high-dose glycyrrhizin improved the liver dysfunction. The patient needed repeated transfusions of leukocyte-poor washed red blood cells and HLA-matched platelet concentrates for a period of 1.5 years until the hematopoietic function recovered 3 months after combined treatment with high-dose methylprednisolone and Kampo-herbal medicine. Laboratory findings on discharge were as follows: granulocytes 1, 050/μl, erythrocytes 3, 460, 000/μl, reticulocytes 100, 000/μl, platelets 47, 000/μl, bone marrow nucleated cells 118, 000/μl, and GPT 52IU/l. Six months later hematopoietic depression recurred, and this combined treatment was performed again with favorable response.
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