日本東洋医学雑誌
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胃X線撮影における胃角の高さの漢方診断学的意義に関する研究
喜多 敏明土佐 寛順寺澤 捷年小林 豊金木 英輔
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1992 年 43 巻 1 号 p. 13-19

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抄録

胃X線造影撮影の胃角の高さと漢方診断学的症候ならびに有効方剤との間連性について検討した。対象は人間ドックを受けた健常人744例 (健常群) と患者270例 (患者群) である。両群で男女別に胃角の高さを比較すると, 男性は女性に比べて胃角が高く, 患者群は健常群に比べて男女ともに胃角が低い傾向を示した。年齢, 肥満度, 血中アルブミン値, 総コレステロール値, 血色素量との関連について検討したところ, 胃角の高い例は肥満度と総コレステロール値が高値を示した。患者群において腹力, 脈力と胃角の高さとの関連をみると, いずれも有力な者は胃角が高く, 軟弱な者は胃角が低い傾向がみられた。また, 気虚スコアーが高値の者は胃角が低かった。さらに有効方剤の検討により, 胃角の高さが証の要素である虚・実と関連する可能性が示唆された。

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