日本東洋医学雑誌
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脳血管障害後遺症に伴う痛み・しびれ感に対する和漢薬治療の試み
柴原 直利桑原 泰則加藤 正夫島田 多佳志檜山 幸孝土佐 寛順寺澤 捷年
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1992 年 43 巻 1 号 p. 27-36

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抄録

脳血管障害後遺症に伴う痛み・しびれ感に対し和漢薬随証治療を試み, その効果と有効処方について検討した。対象は当科を受診した痛み・しびれ感を主訴とする脳血管障害患者38例である。
結果は, 1) 著効13例 (34.2%), 有効11例 (29.0%) と対象症例38例中24例 (63.2%) に症状の改善が認められた。2) 改善症例の背景には特徴的なものは見出されなかった。3) 処方の解析では, 柴胡剤と黄連解毒湯あるいは柴胡剤と駆〓血剤との併用が有効であった症例が多かった。4) 部位と処方との解析では, 顔の症状に対しては黄連解毒湯と他剤との併用が有効であり, 上肢の症状に対しては駆〓血剤と他剤との併用が有効である傾向が認められた。以上の成績より, 脳血管障害後遺症に伴う痛み・しびれ感に対し和漢薬随証治療が有用であり, その症状の部位が方剤を選択する上で一定程度の示唆を与えるものであることを考察した。

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