日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
Print ISSN : 0287-4857
ISSN-L : 0287-4857
特発性間質性肺炎に対する小柴胡湯の治療効果の検討
田中 裕士菅谷 文子山岸 雅彦五十嵐 知文笹岡 彰一阿部 庄作
著者情報
キーワード: 間質性肺炎, 小柴胡湯, 治療
ジャーナル フリー

1995 年 45 巻 3 号 p. 587-594

詳細
抄録

特発性間質性肺炎 (IIP) における小柴胡湯長期投与による治療効果について検討した。ステロイド剤を服用していないIIP症例29例を, 小柴胡湯投与群 (小柴胡湯群; n=9) と小柴胡湯非投与対照群 (対照群; n=20) に分け, 臨床症状, 呼吸加機能について11~43ヵ月の期間経時的に観察した。小柴胡湯投与による副作用の発現はなかった。結果は, 対照群20例すべて観察期間中に改善した例はなく, 小柴胡湯群では, 有効1例, やや有効3例, 無効5例で, やや有効のうちの2例は小柴胡湯の「証」である胸脇苦満を持っていた。以上の結果より, 症状が軽度であるIIP症例に対しては, 肺病変の進行を抑制させるという点で, 小柴胡湯は有用な薬剤であることが示唆された。

著者関連情報
© 社団法人 日本東洋医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top