日本東洋医学雑誌
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外来患者の漢方に対する認識について
中野 頼子新井 信溝部 宏毅佐藤 弘代田 文彦
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1995 年 46 巻 1 号 p. 121-126

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抄録

漢方を希望して当研究所の外来を受診した患者に, 漢方に対する認識についてアンケート調査を行った。患者は副作用に対する関心が強く, 漢方を選んだ理由は副作用が少ないということが最も多かった。副作用の程度はほとんど心配ないと考える人が多数であるが, 副作用が全くないあるいは重篤なものもあるなどの答えもあり, 診療において患者への充分な説明が必要と思われた。また, 西洋医学で良くならない患者や不安感をもつ患者も多く, 西洋医学への批判的な意見もめだった。
病気の治療に対する漢方への期待感はかなり強く, その治療成績も高く評価していた。また体質改善や健康維持, 病気の予防, 体力の増進など西洋医学では見いだしにくい点での期待もみられた。漢方治療を求める患者は西洋医学に対して十分に満足しておらず, 漢方へは安心感のある治療が最も望まれているものであった。

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