日本東洋医学雑誌
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痿症方が奏効した下肢脱力の3例
後藤 博三佐藤 伸彦関矢 信康伊藤 隆寺澤 捷年
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1997 年 47 巻 4 号 p. 609-615

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抄録

痿症方が奏効した3症例を報告した。症例1は59歳の女性。1993年5月全身倦怠感出現。多発性筋炎と診断されプレドニゾロンの投与を受けた。しかし, 下肢の脱力が続くため, 1994年8, 月当科紹介受診。痿症方を投与したところ下肢脱力と握力の改善を認めた。症例2は42歳の女性。1994年9月中旬より四肢指先に異常感覚が出現。同年11月には四肢の脱力を併発。1995年2月当科にて慢性炎症性脱髄性多発神経障害の診断でステロイド大量療法を施行した。足腰の脱力感が遷延したが, 痿症方の内服により改善を認めた。症例3は63歳の男性。1984年下肢の脱力出現。1988年より脱力が増悪し同年6月当科受診し, 球脊髄性筋痿縮症と診断された。1993年10月自力でベットから起き上がれなくなり当科入院。疹症方を投与したところ, 下肢の脱力感の軽減と大胸筋の筋攣縮の消失を認めた。疹症方は下肢の脱力のみでなく上肢の脱力, しびれ感, 筋攣縮の改善にも有効であった。

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