日本東洋医学雑誌
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施鍼で振動覚が改善したと思われる多発性神経炎の1例
戸田 静男野口 栄太郎坂口 俊二谷 万喜子鍋田 理恵八瀬 善郎
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キーワード: 施鍼, 振動覚, 多発性神経炎
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1997 年 47 巻 5 号 p. 869-873

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抄録

神経疾患の愁訴や症状は, 多様であり, 難渋するものが多い。神経疾患に対する東洋医学的療法の適応については, 現在検討が試みられている。本症例は, 振動覚障害を呈した多発性神経炎である。この症例は, 種々の薬物療法が行われていたが, 振動覚障害およびその他の愁訴は改善されなかつた。この症例の証は, 気血虚および気虚血滞と弁証された。そして, 治療目標は調気血および疏経絡とされた。これに, 鍼治療を併用したところ, 振動覚およびその他の愁訴の改善が認められた。振動覚の改善経過上, 振動覚閾値を定量的に観察することが出来た。多様で難治性神経疾患においても東洋医学的療法も検討していく必要があると思われ, 本症例を報告した。

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© 社団法人 日本東洋医学会
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