日本東洋医学雑誌
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「証」と指尖容積脈波との関連性について
樋口 和子阿部 博子
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キーワード: 指尖容積脈波, , 癖血, 水滞, 腎虚
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1998 年 49 巻 2 号 p. 281-288

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抄録

漢方医学における「証」と指尖容積脈波 (以下脈波という) との関連性について検討した。研究Iは近畿大学東洋医学研究所・第I研究部門附属診療所を訪れた初診患者の中から, 初診時の自・他覚症状および使用処方, 含有生薬などから気滞, 気虚, 〓血, 血虚, 水滞, 腎虚と判断される患者 (合計147名) を対象として行った。
脈波の波高, 昇脚時間, T波の有無と各グループとの関連を検討した結果, 〓血群の昇脚時間は他の群に比べて有意に高値を示した (p<0.01)。また, T波は水滞群が他の群に比較して有意に高値を示し (左手p<0.01, 右手p<0.05), 腎虚群は有意に低値を示した (p<0.01)。
さらに脈波に影響を及ぼす背景因子の詳細を知る目的で, 昇脚時間およびT波, 血液粘度, 各種血液所見, 年齢との相関性を研究IIで検討した。その結果, 昇脚時間 (SX) と血液粘度, T-cholesterol, HDL-cholesterol との間に有意の相関が見られ, 加齢に伴って脈波のT波は消失することが明らかになった。

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