日本東洋医学雑誌
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49 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 嶋津 清三郎
    1998 年 49 巻 2 号 p. 167-176
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2010/03/12
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  • 薬能の裏付けを求めて
    宮田 健
    1998 年 49 巻 2 号 p. 177-202
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
  • 寺澤 捷年
    1998 年 49 巻 2 号 p. 203-240
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
  • 松本 克彦
    1998 年 49 巻 2 号 p. 241-248
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    滋陰とは陰を潤すという意味で, 結局は体液を補う方剤ということになる。このような方剤群を歴史を追って整理すると, まず金匱要略に麦門冬湯, 白虎加人参湯があり, また陰陽双補剤と考えられる八味丸がある。次いで和剤局方には清心蓮子飲があり, ほぼ同年代の小児薬証直訣では六味丸が八味丸の受方として独立する。その後明代に滋陰清熱の概念が確立するとともに, 多くの処方が現れるが, 代表的なものとしては万病回春の滋陰降火湯があげられよう。これらの滋陰剤の適応となる陰虚証の診断には, 望診でるい痩, 皮膚の乾燥, 問診で口渇,足腰の弱り, 粘稠な痰などがあるが, 舌苔の減少, 舌質の萎縮を主とする舌診所見が最も簡単である。陰虚証は老化, 糖尿病, 慢性炎症性諸疾患等に一般的に見られ, 今後の高齢化時代における漢方治療に極めて重要な意味を持つと考えられる。
  • 吉田 麻美, 高松 順太, 吉田 滋, 北岡 治子, 増井 義一, 大澤 仲昭
    1998 年 49 巻 2 号 p. 249-256
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    肥満を伴うインスリン非依存性糖尿病 (NIDDM) 患者19例に対し, 運動療法が可能な9例では, 160Calorie/日の有酸素運動 (速歩) 療法を6ヵ月間施行, 実施困難な身体状況にある11例には, 防已黄耆湯を6ヵ月間投与した。運動療法は内臓脂肪型肥満に有効とされているが, 運動療法群では, 治療前後で, CTスキャンを用い測定した内臓脂肪面積と皮下脂肪面積の比 (V/S比) が0.77±0.26から0.65±0.30へ低下したが, 肥満度及び血糖, 脂質についても有意な改善をみなかった。一方, 防已黄耆湯投与群では, 血清コレステロール値が197±31mg/dlから180±19mg/dl(P<0.01)へ, またV/S比が0.84±0.56から0.64±0.30 (P<0.05) へと有意に改善, 血糖値も改善傾向であった。今回の結果から, 防已黄耆湯は内臓脂肪型肥満さらに動脈硬化予防に対し有用である可能性が示唆された。
  • 本邦における報告症例のまとめ
    永田 紀四郎, 神 靖衛
    1998 年 49 巻 2 号 p. 257-271
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2010/03/12
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    ス剤を含め種々なる西洋薬的治療に限界のあった難治性ネフローゼ症候群の女児への漢方方剤による寛解導入例を報告した。児は気虚と浮腫および便通異常 (便秘~下痢) に悩まされ, 十全大補湯, 大黄甘草湯, 五苓散, 人参湯および二陳湯などで軽快を示すも, 温脾湯, 済生実脾散にて増悪し, 様々の方剤にても改善せず, 柴苓湯, 桃核承気湯などにて改善傾向をまし, さらに苓桂朮甘湯を加えて寛解導入に成功した。本邦における漢方方剤のみによる一次性ネ症の治験をまとめてみると, 利水剤を中心とした方剤の報告が多く, それに脾胃を補する方剤および柴胡剤であった。本邦および中医学の水腫の考え方に, 内経の影響がうかがわれた。
  • 長坂 和彦, 土佐 寛順, 巽 武司, 嶋田 豊, 伊藤 隆
    1998 年 49 巻 2 号 p. 273-280
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    西洋医学的治療に抵抗した難治性の褥瘡に帰耆建中湯加附子が奏功した4症例を経験した。症例1は82歳, 女性。繰り返す褥瘡に帰耆建中湯加附子が有効であった。帰耆建中湯加附子の内服を継続することにより、新たな褥瘡の再発はない。症例2は59歳, 女性。直径2cmの褥瘡周囲の皮下に直径10cmにわたるポケット形成があり、同部の皮膚は紫色を呈していた。帰耆建中湯加附子内服後、皮膚の色は正常になり褥瘡は治癒した。症例3は85歳, 男性。過去2回、瘻孔を伴う褥瘡の手術を受けたが治癒しなかった。帰耆建中湯加附子内服後、体交時, おむつ交換時に看護婦を大声で怒る元気がでてきた。また、創部消毒時に強い痛みを訴えるようになった。痛みの自覚は血流が改善してきたことによると考え、同方を継続。褥瘡の治癒とともに全身状態も改善した。症例4は64歳, 女性。心筋梗塞後に心停止し、脳死状態になり、仙骨部に褥瘡を形成するに至った。褥瘡は大学付属病院,総合病院で治療を受けたが改善しなかった。帰耆建中湯加附子 (黄耆30.0g, 白河附子6.0g) で治癒した。帰耆建中湯加附子は、難治性の褥瘡には一度は試みてよい方剤と考えられた。
  • 樋口 和子, 阿部 博子
    1998 年 49 巻 2 号 p. 281-288
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2010/03/12
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    漢方医学における「証」と指尖容積脈波 (以下脈波という) との関連性について検討した。研究Iは近畿大学東洋医学研究所・第I研究部門附属診療所を訪れた初診患者の中から, 初診時の自・他覚症状および使用処方, 含有生薬などから気滞, 気虚, 〓血, 血虚, 水滞, 腎虚と判断される患者 (合計147名) を対象として行った。
    脈波の波高, 昇脚時間, T波の有無と各グループとの関連を検討した結果, 〓血群の昇脚時間は他の群に比べて有意に高値を示した (p<0.01)。また, T波は水滞群が他の群に比較して有意に高値を示し (左手p<0.01, 右手p<0.05), 腎虚群は有意に低値を示した (p<0.01)。
    さらに脈波に影響を及ぼす背景因子の詳細を知る目的で, 昇脚時間およびT波, 血液粘度, 各種血液所見, 年齢との相関性を研究IIで検討した。その結果, 昇脚時間 (SX) と血液粘度, T-cholesterol, HDL-cholesterol との間に有意の相関が見られ, 加齢に伴って脈波のT波は消失することが明らかになった。
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