日本東洋医学雑誌
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実熱証の湿疹・皮膚炎に対する黄連解毒湯エキス顆粒の有用性
堀口 裕治
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1999 年 50 巻 3 号 p. 471-478

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抄録

湿疹・皮膚炎を主訴とする患者のうち実熱の証を示す患者を選び, 通常の皮膚科的な治療法に加えて黄連解毒湯エキス顆粒を併用し, その有用性を検討した。4~8週の黄連解毒湯の併用治療前後における紅斑色調, 発汗の程度, 皮膚炎の程度, ほてりや〓痒の程度, 掻破による湿潤の程度などを比較し, 黄連解毒湯の効果を判定した。血液検査の結果や服用しやすいかどうかなどを総合し, 有用性を判定した。結果を判定し得た31例の内訳はアトピー性皮膚炎15例, 慢性湿疹11例, 自家感作性湿疹1例, 脂漏性皮膚炎2例, 腹部湿疹1例, 結節性痒疹1例であった。結果はきわめて有用4例 (13%), 有用16例 (52%), やや有用6例 (19%), 有用でない5例 (16%) であった。胃のもたれ感が強く服用困難な症例が1例, 肝臓逸脱酵素の上昇を示した症例が1例見られた。黄連解毒湯エキス剤は実熱証を示す湿疹・皮膚炎の症例に対し併用すべき薬剤と考えた。

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