日本東洋医学雑誌
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かぜ症候群後咳嗽に対する麦門冬湯と臭化水素酸デキストロメトルファンの効果の比較 (パイロット試験)
藤森 勝也鈴木 栄一下条 文武
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2001 年 51 巻 4 号 p. 725-732

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抄録

麦門冬湯 (B) は漢方薬で, 気管支炎モルモットの咳嗽を抑制することが知られている。かぜ症候群後咳嗽に麦門冬湯が有効か否か検討した。非喫煙者で, かぜ症候群後2週間以上咳嗽が続き, ACE阻害薬を内服しておらず, 鼻・副鼻腔疾患, 慢性呼吸器疾患, アトピー歴, 胃食道逆流症がなく, 胸部単純X線, 呼吸機能, 末梢血好酸球数, CRP, 血清IgE値に異常のない症例を適格症例とした。適格症例を, 無作為にBエキス顆粒9g/日と臭化水素酸デキストロメトルファン (D) 60mg/日の1週間内服群に分け, 咳日記 (咳点数0-9点に分布) を用いて, 2群間の咳嗽抑制効果を比較検討した。B13例, D12例で検討した。両群で, 年齢, 性, 来院時の咳点数, 咳嗽持続期間, 検査成績に有意差はなかった。B, D両群で有意な咳嗽抑制効果が認められたが, Bでは2日目より, Dでは3・6・7日目に, 有意に咳点数が低下した。BはDに比し, 2日目で咳嗽抑制効果が強かった (P<0.05)。両群に重篤な副作用を認めなかった。以上より, 麦門冬湯は, 非喫煙者のかぜ症候群後咳嗽に有用で, 内服後すみやかに咳嗽抑制効果を現すと考えられた。

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