日本東洋医学雑誌
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肺上皮細胞における麦門冬湯のグルココルチコイド依存性および非依存性遺伝子発現調節作用
磯濱 洋一郎森内 宏志甲斐 広文宮田 健
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2002 年 53 巻 1-2 号 p. 1-9

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抄録

気管支喘息や慢性閉塞性呼吸器疾患 (COPD) に代表される慢性の呼吸器疾患は, 世界中に多くの患者が存在する。慢性呼吸器疾患の治療には長期投与が可能で副作用の少ない薬物が求められるが, 西洋薬には限界があり, 漢方薬の使用が増加している。麦門冬湯は慢性呼吸器疾患に有効な漢方方剤の一つであり, 特に激しい咳を伴う場合に用いられる。麦門冬湯が多彩な薬理作用を持つことは明らかになってきたが, その薬理作用にはグルココルチコイドと共通するものが多い。従って麦門冬湯がグルココルチコイドと同様に遺伝子の発現を調節する作用をもつと推定されるが, その特性は十分に解明されていない。本稿では, 特にこれまでに明らかになった麦門冬湯の肺上皮細胞における遺伝子発現調節作用に焦点を当て, 麦門冬湯とグルココルチコイドの作用の類似点と相違点について解説する。

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