日本東洋医学雑誌
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慢性血液透析患者の体重増加に対する白虎加人参湯の効果
内藤 真礼生長田 高志三村 卓中村 信大久保 充人
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2002 年 53 巻 3 号 p. 217-222

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抄録

週3回の血液透析にも関わらず, 透析間の体重増加が多い8名に, 白虎加人参湯工キス錠の投与を10週間行い, 投与前, 後で透析間の体重増加, 口渇, 心胸比を比較検討した。8例中4例で口渇が改善し, 他の4例では変化しなかった。口渇が改善した4例では, 内服中, 中1日の透析間の体重増加は全例で有意に抑制され, 投与中止後も抑制効果は持続した。中2日の透析間の体重増加は, 内服中, 4例中1例で有意に抑制され, 中止後は全例で抑制された。口渇不変の4例では, 透析間の体重増加に有意な変化を認めなかった。全例, 投与前後で心胸比に有意な変化はなく, 副作用も認められなかった。口渇が改善された患者でのみ有意な体重増加の抑制効果が認められたことから, 白虎加人参湯の効果は口渇の減少を介した飲水減少によると考えられた。以上より白虎加人参湯の投与は, 少なくとも一部の透析患者で, 透析間の体重増加を減らすのに有効かつ安全な手段であることが示された。

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