日本東洋医学雑誌
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実験的骨減少症に対する加味帰脾湯の効果
金井 成行谷口 典正
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2002 年 53 巻 4 号 p. 329-334

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抄録

加味帰脾湯の骨量に対する影響を, 骨減少症モデルである卵巣摘出ラットに, CXD法および運動解析装置を用いて検討した。
実験動物および方法: Wistar 系雌ラット8週齢24匹を3群に分けた。I, II群は卵巣摘出し, 骨粗鬆症モデルとした。I群 (OVX漢方) は, 加味帰脾湯原末500mg/kgを6ヵ月間投与した。II群 (OVX (CTL)) は水のみ与えた。III群 (NR) は無処置放置群とした。薬物投与前, 投与後1ヵ月, 3ヵ月, 6ヵ月の各群ラットの骨塩量の推移と投与前と投与後6ヵ月の行動量の変化も測定した。
結果: NR群の骨塩量は6ヵ月間大きな変化もなく推移したが, OVX (CTL) 群は卵巣摘出3ヵ月後から有意に骨塩量の低下が認められた。OVX漢方薬投与群も骨塩量の低下が認められたが, 6ヵ月後では, OVX (CTL) 群に比べて, 明らかに, 骨塩量の減少が抑制された。NR群の行動パターンは, 活動期と休息期がはっきりした2相性を確認したが, OVX (CTL) 群では, 活動期と休息期がはっきりせず, 行動パターンは乱れていた。OVX漢方群の行動パターンは, 2相性を示し, NR群パターンに似ていた。
結論: 加味帰脾湯投与によってOVXラットの行動パターンが改善され, 二次的に骨塩量が増加されたものと考えられた。

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