日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
Print ISSN : 0287-4857
ISSN-L : 0287-4857
子宮筋腫治療における GnRH agonist 療法時の更年期様症状に対する漢方製剤の効果の比較
星本 和倫星本 和種
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 53 巻 5 号 p. 537-543

詳細
抄録

最近では子宮筋腫に対し, GnRH agonist (GnRHa) による内科的治療法が注目をあびている。しかし, 血中エストラジオール値の低下がもたらす更年期様症状の発現はこの治療法の大きな問題点のひとつである。こういった副作用に対し, 漢方製剤の併用が試みられている。今回われわれは子宮筋腫26症例に対し, GnRHa として酢酸リュープロレリンを6ヵ月間投与した。その際, 副作用対策として GnRHa 投与1ヵ月後から「証」を考慮することなく, 漢方製剤 (当帰芍薬散, 加味逍遥散, 桂枝茯苓丸のいずれか1製剤) を併用し, その効果を比較した。その結果, 3種類の漢方製剤はいずれも更年期様症状の減弱に有効であったが, 加味逍遥散が最も効果的であった。また, 桂枝茯苓丸併用群において子宮筋腫の縮小効果が最も大きかった。しかし, 今回の研究は症例数も少なく, 今後, さらに症例数を増やして検討していく必要がある。

著者関連情報
© 社団法人 日本東洋医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top