日本東洋医学雑誌
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慢性頭痛に対する茯苓四逆湯の使用経験
小林 豊中田 真司喜多 敏明寺澤 捷年
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キーワード: 慢性頭痛, 茯苓四逆湯, 潜証
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2004 年 55 巻 1 号 p. 139-145

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抄録

慢性頭痛に対する茯苓四逆湯の使用経験を報告した。五症例すべてが, それまで受けてきた西洋医学的治療の効果が不十分で当科を受診しており, 煩燥を伴う激しい頭痛発作に対して茯苓四逆湯が有効であった。症例1から症例4までの四例は自覚的・他覚的に冷えを認め, なかでも症例1と症例3は背中に強い冷えを訴えた。煩燥を伴う激しい頭痛発作で, 強い冷えに侵されて生じたものに茯苓四逆湯が有効である可能性が示唆された。症例5は初診の時点で少陽病期実証と考えられたが, 茯苓四逆湯が奏効したことによって, 虚寒証が潜んでいることが判明したため, 潜証とその治療方剤としての茯苓四逆湯の重要性が改めて示唆された。

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