日本東洋医学雑誌
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硬膜外脊髄刺激療法中の鍼通電治療
田中 正史豊田 宏廖 英和三宮 正博綿貫 実
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2004 年 55 巻 3 号 p. 343-346

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抄録

硬膜外脊髄刺激療法中の患者に鍼通電治療が有効であった1例を経験した。症例は35歳の男性で, 16歳時からの交通外傷などによる頸部痛に対し, 星状神経節ブロック, 頸部硬膜外ブロックを施行されていた。29歳時の硬膜外ブロック時に左第3~5指に放散痛を生じ, 33歳時の硬膜外力テーテル挿入後に硬膜外膿瘍を発症した。抗生剤にて軽快したが, 以降左手指のこわばりとともに頸部痛・頸部後屈制限が著明となり34歳時に硬膜外脊髄刺激電極を挿入された。左手指のこわばりは改善したが頸部痛, 頸部後屈制限が改善されないため来院した。頸部痛に加え嚥下・咀嚼時痛があり流動食摂取の状態であったが, トリガーポイントブロック, 星状神経節近傍照射に加え, 後頸部に鍼通電治療を施行したところ, 2回の施療により常食摂取が可能となった。頸部痛の軽減に伴い自発運動を主体としたリハビリテーションを行っている。硬膜外脊髄刺激療法中にも鍼通電治療は安全に行うことができる可能性がある。

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