気管支喘息は, 気道の慢性好酸球性炎症に基づく気道狭窄により発作性の呼吸困難を呈する疾患である。気管支喘息発作時の治療は, 1998年に改定されたわが国の喘息予防・管理ガイドラインに則った西洋薬による対応が一般的である。
今回, 漢方薬治療により軽快した気管支喘息 (中発作) の2症例を経験した。安全性の面から, 患者の希望・同意のもと入院管理下で加療し, ピークフローメトリーや指尖脈波による酸素飽和度測定等の指標を用いて, 詳細に経過を観察した。
2例とも非発作時に服用していたもの以外に西洋薬は追加せず, 漢方薬のみで発作の軽快が得られた。
喘息発作治療に対して西洋薬による治療が一般的である今日においても, 漢方薬が有用であることが示唆された。ただし, ガイドラインが存在する以上, 入院による厳重な監視下におくことを考慮すべきであり, 症状が増悪した場合には, 即時にガイドラインに則った治療を施行することが必要である。
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