日本東洋医学雑誌
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鍼治療が有効であった気管支喘息を合併した肺気腫の一症例
鈴木 雅雄大野 康赤尾 清剛江川 雅人浅井 稔博矢野 忠藤原 久義
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2005 年 56 巻 4 号 p. 567-575

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抄録
呼吸困難のため日常生活が困難となっていた, 気管支喘息を合併した肺気腫の―症例に対して鍼治療を行い良好な結果が得られた。症例は69歳, 男性で喘息発作と労作時呼吸困難を主訴に1998年7月に岐阜大学医学部附属病院呼吸器内科を受診した。その後も接薬物療法と在宅酸素療法を受けていたが, 症状は徐々に増悪したため, ●●●に主治医の勧めで鍼治療の併用が開始された。
鍼治療開始時の患者の状態は, GOLDの病期分類ではIII (重症) を示した。また, 呼吸機能検査では, %VC: 90.7%, FEV1%: 35.1%, %FEV1: 38.2%, V25: 0.20L/Sと閉塞性換気障害を認めた。鍼治療に使用した経穴は, 中府穴 (LU1), 尺沢穴 (LU5), 太淵穴 (LU9), 関元穴 (CV4), 中〓穴 (CV12), 天突穴 (CV22), 豊隆穴 (ST40), 肺兪穴 (BL13), 腎兪穴 (BL23), 太谿穴 (Kl3)で, 鍼治療の頻度は1週間に1回で10週間継続した。
10週間後では, 鍼治療により喘息発作の改善と歩行距離の増加, 労作時呼吸困難の軽減, 呼吸機能の改善が得られた。本症例に鍼治療が有効と考えられた。
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