日本東洋医学雑誌
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東海大学医学部における選択科目「東洋医学」の教育上の問題点
新井 信清水 美衣高士 将典
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2006 年 57 巻 2 号 p. 225-231

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抄録

選択科目としての東洋医学講義 (定員60名) の問題点と医学生の意識を調査する目的で, 東海大学医学部4年生全員96名を対象に, 講義前に記名式アンケート調査を行った。有効回答者76名のうち, 講義選択時に東洋医学を考慮した人は47名で, 実際に選択した人は35名だった。講義選択を考えたが選択しなかった10名は, 定員超過 (3名), 他の選択科目との調整不良 (6名) が理由だった。新しい医学教育モデル・コア・カリキュラムについて, 東洋医学が医師国家試験に出題される可能性があることを知る人は6名 (896), 到達目標に掲載されていることを知る人は3名 (4%) だった。また, 東洋医学に対する意識として, 興味を持っている (64名, 84%), よいイメージを持つている (47名, 57%) という積極的な学生が多かつたが, その約2/3は「エビデンスに乏しい」「神秘的である」「非科学的である」「難解である」「疑わしい」「効き目が遅い」という否定的, 懐疑的イメージを併せ持つていた。このような現状を勘案すると, 各大学は東洋医学に関する最低限の正しい知識をすべての医学生に対して必修科目として教育するべきだと考えら加れる。さらに, 医学生の東洋医学に対する興味と期待を考慮すれば, 上級コースとしての東洋医学教育も考慮されてよいだろう。

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