抄録
福井県では、他の自治体に先駆けて、政策立案の初期段階からクリエイターが参加する「政策デザイン」の取り組みを行っている。本研究では、福井県の「政策デザイン」に参加するクリエイター視点からみた政策にデザインを導入する意義と可能性について論じる。具体的には、福井県が2022年に発刊した「ふくい政策デザインクリエイターズガイド」で記載されている政策デザインに参加する23人のクリエイターの「政策デザインを通じて感じたこと」に対する記述を対象として考察を行った。その結果、「政策デザイン」に関わったクリエイターが通常の業務との違いを認識しながら、デザインの力で地域課題を解決し、地域を「よくする」ことの可能性を認識していることがわかった。さらに、協働するクリエイターは、クリエイター特有の発想やデザイン思考を導入することにくわえ、デザインの持つ人間の感性や感情に直接働きかける機能に着目していることが示された。