感染症学雑誌
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原著
小児の細菌性髄膜炎における抗菌薬治療と予後
坂田 宏砂川 慶介野々山 勝人佐藤 吉壮春田 恒和尾内 一信山口 覚
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2011 年 85 巻 2 号 p. 150-154

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抄録

2004 年 4 月から 2007 年 1 月までに 108 の調査協力施設で診療した 466 例の細菌性髄膜炎の中から,検討委員会において診断が不確実な例,評価不能な例などを除外した小児例 339 例について,初期治療薬と予後の関係を検討した.予後不良は発症後約 3 カ月の調査で四肢麻痺,難聴,てんかんなどの後遺症を有していた例とし,43 例(12.7%)が該当した.年齢や原因菌によって有意差はなかった.発症から治療までの期間が 4 日を越えるとそれ以前に治療開始した例に比べて有意に予後不良例が多かった.予後不良率は panipenem/betamipron (PAPM/BP) と ceftriaxone (CTRX) 併用が 64 例中 4 例 (6.4%),MEPM と cefotaxime (CTX) 併用が 57 例中 6 例 (10.5%),meropenem (MEPM) と CTRX 併用が 50 例中 7 例 (14.0%),CTRX 単剤は 23 例中 0 例であった.MEPM は 42 例中 11 例 (26.2%) で予後不良率が高く,PAPM/BP と CTRX 併用,MEPM と CTX 併用,CTRX 単剤の治療方法とそれぞれ有意差を認めた(p<0.05).MEPM の単独での初期治療は単独投与より併用療法を行うことが望ましいと考えられた.

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© 2011 社団法人 日本感染症学会
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