日齢 0~6 の新生児の血液もしくは脳脊髄液由来の B 群溶連菌 (Group B
Streptococcus: GBS) と新生児・腟保菌由来の GBS において,薬剤感受性と血清型分布の動向を明らかにすることを目的とした.1999 年~ 2009 年に 6 施設で GBS と同定された,新生児血液髄液由来 14 株 (侵襲株),新生児咽頭等由来 55 株 (新生児保菌株),妊婦褥婦腟保菌 198 株を対象とした.薬剤感受性試験は,微量液体希釈法で最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し,血清型の遺伝子は PCR 法で測定した.1999 年~2005 年 (I 期) と 2006 年~2009 年 (II 期) の 2 期間に分け,MIC
50,MIC
90,耐性率を比較した.Penicillin 系抗菌薬 (penicillin G,ampicillin) の MIC は全ての菌株において感受性があった.I 期と II 期において,penicillin 系抗菌薬を含む 12 薬剤に対する MIC
50,MIC
90,耐性率は,有意な変化を認めなかった.血清型は,侵襲株では,III 型 6 株 (42.9%),Ia 型 5 株 (35.7%) の順に多かった.新生児保菌株では Ib 型 16 株 (29.1%),VI 型 11 株 (20.0%) が多かった.I 期と II 期における血清型分布の比較では,変化はなかった.現時点で,分娩時に保菌妊婦に penicillin 系の抗菌薬を予防投与することは新生児 GBS 感染症予防に有用であると考えられた.
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