感染症学雑誌
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原著
同一病棟で長期に渡り分離された CTX-M-14 型 ESBLs 産生 Escherichia coliの検討
安永 さおり寺田 さと子早川 恭江加藤 千景鈴木 匡弘山田 和弘柴田 尚宏
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2011 年 85 巻 4 号 p. 347-354

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抄録

2006 年 4 月から 2009 年 3 月までの 3 年間に,当院の神経内科病棟の入院患者検体より分離された cephalosporins 耐性 Escherichia coli 株 19 症例 30 株について,細菌学的・遺伝子学的解析および患者背景を調査し,比較検討を行った.検体材料別は,尿19/30 株 (63%),喀痰6/30 株 (20%),血液3/30 株 (10%)であった.ESBLs 産生確認試験を行い,すべて ESBLs 産生性が確認された.PCR 法とシークエンスによる遺伝子解析結果は CTX-M-14 型が25/30 株 (83%),CTX-M-2 型が5/30 株 (17%)であった.CTX-M-14 型保有株のうち,PFGE 法では 2 つのクラスター群 (I・II) 得られた.特にクラスター I 群について,約 1 年半の長期に渡り,同一病室での検出が続いていた.患者背景として,尿カテーテル留置例が 13/19 例 (68%) と高く,既往歴に脳血管疾患や糖尿病・高血圧の罹患が多かった. 今回の調査において,PFGE 解析で同一クラスター株が病院内に定着し拡散していた可能性が示唆された.その原因は接触感染対策の実施の不徹底や,患者の免疫状態やリスクファクターの存在が考えられた.

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© 2011 社団法人 日本感染症学会
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