感染症学雑誌
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原著
カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)のディスク拡散法を用いたスクリーニング検査に関する検討
中村 竜也小林 紗織大沼 健一郎楠木 まり林 伸英大路 剛時松 一成三枝 淳荒川 創一
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2017 年 91 巻 1 号 p. 14-19

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抄録

カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)は世界的に増加傾向にあり,特にカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)が問題となっており,日本ではIMP 型が主である.これらを迅速かつ正確に検出することは,抗菌薬適正使用や院内感染対策において重要である.そこで,ぺネム系およびカルバペネム系抗菌薬の薬剤感受性ディスクを用いて,CPE スクリーニング基準の設定を試みた.カルバペネマーゼ産生株に対する阻止円径は,FRPM (5μg) 6~12 mm (平均6.9 mm) と最小の阻止円径を示した.遺伝子型別では,IMP 6 でIPM (10μg),BIPM (10μg)の阻止円が30 mm 以上を示す株が存在した.FRPM において阻止円が形成された株は全てIMP-6 型であった.ROC 解析によるカルバペネマーゼ産生株のcutoff 値は,FRPM 12 mm,MEPM (10μg)24 mm,BIPM 29 mm,DRPM(10μg)25 mm,IPM 26 mm,PAPM (10μg) 24 mm となり,感度はFRPM で100%と最も良好であった.一方,特異度はMEPM,DRPMが93.44 % を示し,FRPM は85.25 % と2 剤に比較して若干低値を示した.FRPM (5μg) ディスクを使用した薬剤感受性試験は,簡便かつ正確なCPE のスクリーニングを可能にすると考えられた.

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© 2017 一般社団法人 日本感染症学会
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