感染症学雑誌
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原著
抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体ソトロビマブの日本人・白人健康成人における静脈内点滴投与時の安全性及び薬物動態評価
岡正 有沙Malek OKOURDaren AUSTIN志田 有里Jennifer E. SAGERElizabeth ALEXANDERDimitra BRINTZIKIAmina HAGGAGStephen A. HARRISON服部 貴子Ian HAWES奥田 伸彦Scott SEGALAndrew SKINGSLEYRobert WILLIAMSEsther YOONAndrew M. LIPPA
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2022 年 96 巻 2 号 p. 39-45

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抄録

背景:ソトロビマブは,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質のACE2受容体結合部位とは異なる部分を標的とするヒトモノクローナル抗体である.重症化リスクを有する成人の軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者を対象とした海外第2/3相試験(COMET-ICE試験)では,ソトロビマブ(500 mg単回点滴静注)によりプラセボと比較して入院及び死亡のリスクが79%減少し,忍容性も良好であった.本邦では,2021年9月,特例承認により,重症化リスク因子を有し,酸素投与を要しないSARS-CoV-2感染症患者への静脈内投与が使用可能となっている.

目的:本試験は,日本人及び白人の健康成人を対象として,ソトロビマブ500 mgの静脈内投与時の安全性及び薬物動態における民族差を評価する目的で実施した.

方法:日本人及び白人の健康被験者を対象にソトロビマブ500 mg単回点滴静注時の安全性,忍容性,及び薬物動態を評価した.被験者はソトロビマブ又はプラセボに4:1の比で無作為に割り付けられた.主要評価項目はDay 29までのソトロビマブの安全性及び薬物動態であった.

結果・結論:ソトロビマブ500 mgを健康被験者に静脈内投与したとき,重篤な有害事象は認められず,安全性及び忍容性は民族間で同様かつ良好であった.また,ソトロビマブの曝露量に明らかな民族差は認められず,本邦で承認されているソトロビマブ500 mg単回点滴静注の用法及び用量を支持するものであった.

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© 2022 一般社団法人 日本感染症学会
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