感染症学雑誌
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静脈内注射用破傷風免疫ヒトグロブリンTIG (i) の臨床的研究
II. 臨床的効果と副作用
海老沢 功黒須 吉夫大塚 敏文松橋 直山本 昭夫
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1981 年 55 巻 2 号 p. 101-108

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抄録

破傷風患者に静注用破傷風免疫ヒトグロブリンTIG (i) を1,500~3,000iu (17人), あるいは筋注用のTIG (m) をすでに注射してある者 (9人) にさらにTIG (i) を1,500iu静注して治療を行なつた. onset time 2日以内のもの12人, 人工呼吸を要するもの7 人などかなり重症例もあつたが死亡例は2 人であつた. これは従来の抗毒素 (ウマ) を用いた治療時の成績から得た期待死亡数9.3人をはるかに下回るよい成績であつた.
また外傷患者102人にTIG (i) を250または1,500iu静注して破傷風発病予防を試みた. 患老の中には複雑骨折, 組織挫滅の強いものが多数あつたが, 破傷風発病者は1人もなかつた.
TIG (i) を静注された者は合計128人に達したが, 発疹やアナフィラキシー様ショツクを起こしたものはなかつた.
TIG (i) を破傷風治療に用いるときはその重症度に応じて1回1,500~3,000, あるいは, 3,000~4,500iuを静注するだけでその目的を達し得よう. 発病予防には250~500iu 1回の注射をすすめる. 広汎囲の第II度火傷例や開腹手術を要する例ではその注射時期と量を考慮する必要がある. 排泄速度の速かな例が上記患者には見られるからである.;

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