感染症学雑誌
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三日熱マラリアの2例
粟津 緑中野 康伸武内 可尚
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1982 年 56 巻 6 号 p. 509-512

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抄録

近年海外旅行の簡便化, 国際交流の緊密化などからわが国にも一般の予想以上に多くのマラリア患者がいると言われている.
今回私達は2例の三日熱マラリアを経験し報告した. 2例とも来日後3, 4週目までクロロキンを予防内服しており, その後約2ヵ月して発症した. 症状は発熱・頭痛で末血標本よりマラリア原虫が検出され, 潜伏期なども考え合わせ三日熱マラリアと診断した. 発熱発作はクロロキンにて行い第1例のみFansidarを併用した. 根治療法は感染地がパプァニューギニアであることを考慮しプリマキン30mgを7日間, 1ヵ月おいて2回投与した. 現在に至るまで2例とも再発を見ていない。
実際にマラリアの症例を経験し, 海外旅行歴があって発熱を訴える患者には, まず疑いを持つことが大切であることを痛感した。

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