1982 年 56 巻 8 号 p. 664-670
宮崎地方の患者から分離されるR.tsutsugamushiはマウスに弱病原性であるぽかりでなく, ふ化鶏卵卵黄嚢, 培養細胞での増殖度も極めて低く, 研究上大きな支障となっている.
アフリカミドリザル腎細胞 (BSC-1) においてこれらの株は極めて良好な増殖を示すことを見出した.
感染細胞はリケッチアが増殖し, 胞体内に充満すると変性, 脱落したが, 形態上には軽度の円形または紡錘形の変化を示すものが少数認められたにすぎなかった.
細胞内のリケッチア増殖度は, 標準株に比べわずかに低く, CPE発現までに要する期間は15~30日 (平均20日前後) であった.
入江株感染細胞の継代時のリケッチア量はBSC-1細胞によるTCID50は10-7.5, マウスでのMID50は10-7.2であった.つつが虫病患者血液から本細胞による直接培養では6例中3例で病原が分離された.