感染症学雑誌
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サルモネラ菌症の予防に関する基礎的研究 (5) 精製S.enteritidisSPAの感染防御機構における体液性免疫について
神谷 和人杉原 久義田中 哲之助
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1982 年 56 巻 8 号 p. 671-678

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抄録

S.enteritidis2548株のSPAを精製し, これを用いてマウスに対する感染防御実験を行った.精製SPA0.05μgを1回腹腔に接種し, 14日後に104LD50の菌量で攻撃すると, 80%のマウスは感染死を免れる (前報).
精製SPA免疫マウス血清を正常マウスに受身移入し, 100LD50の菌量で攻撃すると90%は生存する.しかし正常血清移入の対照群はすべて死亡する.このようなマウスの血液, 臓器内菌数の変動を調べると, 対照群は3日後には血中では105/ml, 脾臓, 肝臓中は108/gに達し, すべて死亡したが, 免疫血清移入群ではこの閾値に達せず, 次第に減少し消失した.
免疫血清の殺菌作用はほとんど認められなかったが, この免疫血清を正常マクロファージと混合し, さらに攻撃菌とincubationした後, 生菌数を調べると, 対照と比べ明らかに殺菌率の上昇が認められた.またカラゲナン処理マウスに免疫血清を受身移入し, 感染防御効果を調べたが, 感染死を防御することはできなかった.
免疫血清中に含まれるこの抗体がいかなるクラスの免疫グロブリンであるかを調べたところ, 主としてIgMであることが判明した.

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