1982 年 56 巻 8 号 p. 711-714
34歳の男性.フィリピンから帰国後1日に2~3回の泥状便が持続したが, その他の症状はなく, 軽症であるため放置していた.6ヵ月後, その長男が発熱や膿粘血便などの典型的な赤痢様の症状を呈し, 便よりガス産生Shigella boydii14型を分離した.さらにその1ヵ月後に父親が発熱, 腹痛および水様下痢便を呈するようになり, 便から同じくS.boydii 14型を分離した.
本例はフィリピンからのガス産生S.boydii 14型による輸入感染赤痢と考えられた.