感染症学雑誌
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A群溶レン菌C多糖体に対するin vitroリンパ球幼若化反応
滝沢 慶彦高瀬 愛子小西 和美冨沢 功
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1983 年 57 巻 12 号 p. 1052-1059

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抄録

A群溶レン菌C多糖体 (A-C) に対するヒト末梢リンパ球反応について, 微量全血培養法によるin vitroリンパ球幼若化 (LTF) 反応を用いて6グループについて検討した. すなわち, 新生児 (踏帯血) 12名, 正常小児21名, 正常成人91名, 狸紅熱 (SF) 患者入院時33名, 同患者退院時33名, 急性糸球体腎炎 (AGN) および急性リウマチ熱 (ARF) 患者10名について採血した. 結果は, Stimulationindex (SI) で示し, SI≧3.0を有意な反応 (Significant reaction: SR) とみなした. これらの中で, 成人で最も高い反応 (mSI=11.0, SR率57.1%) を示し, 膀帯血 (mSI=3.5, SR率41.7%), SF患者退院時 (mSI=3.6, SR率33.3%), AGNまたはARF患者 (mSI=5.5, SR率30.0%) では中等度の反応を示し, 正常小児 (mSI=1.2, SR率9.5%) とSF患者入院時 (mSI=1.6, SR率9.1%) では最も低い反応を示していた. 中等度反応群と正常小児との間に統計的有意差は認められなかった. しかしながら, SF患者の退院時におけるLTF反応に有意な上昇が認められた (P<0.05). 濟帯血12例中5例に有意な反応が見られた. また, A-C抗原に反応するリンパ球は, T細胞のみならずB細胞にも存在することが示唆された. これらの結果から, A.C抗原に対するLTF反応は, 特異的反応に一部非特異的反応が関係していることが示唆された.

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