感染症学雑誌
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学童の咽頭分離溶血レンサ球菌の疫学的研究
第1編群別 (A, B, C, G群), 型別 (A, B群) の推移 (1980.11~1982.11)
中島 邦夫奥山 道子奥田 清
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1983 年 57 巻 12 号 p. 1075-1082

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抄録

大阪市内の健康学童の咽頭から分離される溶血レンサ球菌 (A, B, C, G群) の疫学的研究を行った. 期間は1980年11月から1982年11月までで, 実施は隔月毎に13回行った. 菌検出方法はN-O培地とRegular培地 (5%緬羊脱線維血液加寒天平板培地) を併用した. 群別はPhadebact Streptococcustestでスクリーニング後, 家兎免疫血清を用いる凝集反応によって確認した. なお, A, B群については型別を実施した.
月別に学級別に溶血レンサ球菌の検出率を比較すると15%弱から80%弱の幅がみられた. 最も多くみられたのは40~50%台である. 群別中最多にみられたのはA群であるが, ときにはB群の方が多いこともあった. C群は僅かに分離したのみであった. G群はC群よりも多く検出したが全般的にみてA, B群よりも少数であった. 月別にみたA群型別では, その最多分離株はT-12型, T-6型, T-B3264型, T-13型と変化した. 学級別にA群型別を検討すると, 最多分離i株が異り, 旧6年生と6年生はT-12型, 5年生と4年生はT-6型, 3年生はT-13型, 2年生はT-13型とT. B3264型, 1年生はT-B3264型, 新1年生はT-8型であった.
B群菌は従来の報告よりも多くの比率で検出した. その型別で最も多く分離したのはBlaとIII型であった. B群の型別は月別にみても, また学級別にみても特に差異は認められなかった. 学級別, 個人別にA群菌検出回数を人数別に比較した. その結果, A群菌を多く検出した2年生と5年生には菌の頻回検出者が多くみられた. 同様のことがB群菌でも観察された.

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