感染症学雑誌
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血清のAHD値およびANAD値の検討
健康小・中学生ならびに溶連菌感染症を対象にして
奥山 道子中島 邦夫奥田 清
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1983 年 57 巻 12 号 p. 1095-1107

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抄録

溶血レンサ球菌の菌体外産物に対する血清抗体として, 従来広く測定されてきたASO値と, による測定法が開発され, その測定が簡便になったAHD (antihyaluronidase) 値, ANAD (anti-NADase) 値の4者について測定し, その相互関係と, A群溶血レンサ球菌検出回数及び同菌感染症との関連について検討した.
対象は大阪市立少年保養所入所の小・中学生と, 大阪市内E小学校児童であるが, これら小・中学生においては, ASO値320倍以下が83.3%, めた.
ASOと各抗体値の相関々係をみると, ASO-ASKでは相関係数r=0.705, ASO-ANADではr=0.702, ASO-AHDではr=0.467であり, ASO-AHDでは相関はみられなかった.
E小学校児童について採血前一年間の隔月に計6回, 咽頭溶血レンサ球菌の検索を実施し, A群菌を検出した回数と, 血清抗体値との関連を検討したところ, 菌検出回数が多い程, 抗体値が高値を示した例が多く, 菌を一度も検出しなかった例では, 異常値の比率が低かった. また, 菌を検出した例のうち, ASO値が低値であった例について他の抗体値の反応をみると, 陽性を示した例はASK・AHDでは25.0%みられたが, ANADでは7.1%に留まった.
また, 溶連菌感染症21例について, これらの抗体値の上昇を比較したところ, ASO, ASKはそれぞれ16例, AHDでは14例, ANADでは11例に上昇をみた. このうち単独で上昇したのは, AHDの3例のみであった. また, 2管同時に上昇したのは, ASO, ASKに2例, AHD, ANADに2例みられた.

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