感染症学雑誌
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猩紅熱に対する抗生物質10日間治療成績
冨沢 功滝沢 慶彦小西 和義清水 長世辻 正周今川 八束村田 三紗子松原 義雄瀬尾 威久相楽 裕子八森 啓柏木 義勝柴田 実寺山 武
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1983 年 57 巻 12 号 p. 1108-1114

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抄録

われわれは, 狸紅熱患者に抗生物質を10日間投与して, 再排菌について検討した.
患者は1980年12月から1981年5月までの6ヵ月間に, 札幌市立病院と都立4病院に入院した294例である.
最も多く使用された抗生物質は, ACPC (35.7%) で, 次にTAPC (25.2%), ABPC (13.3%), CEX (6.1%) およびB.PC-G (BenzathinePGG) (6.1%) である.
投与量は31~40mg/kgが, また投与開始病日は3病日が最も多かった.
治療開始前に153例からgroup A streptococciを分離した.また全例とも治療中は菌は検出されなかった.
再排菌があったのは9例 (5.9%) である.薬剤別ではB.PC-G (14.3%), ABPC (11.5%), ACPC (6.8%) で, この他の薬剤からは再排菌はなかった.
今迄にわれわれが実施した7日間治療法における再排菌は, 741例のうち37例 (5.0%) に認められたが, 今回の10日間治療法における再排菌率は, 今迄の7日間治療法のそれとの間に有意差を示さなかった.

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