感染症学雑誌
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コレラ菌体成分によるIgE抗体産生の抑制
駒形 安子合田 朗
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1984 年 58 巻 1 号 p. 23-28

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抄録

コレラ菌体および菌体成分のIF52がIgE抗体産生を促進することを報告して来たので, このIgE抗体産生を抑制する方法を見い出す目的で実験を行った.
コレラ菌体成分のIF30を免疫の前後に腹腔内感作することによって, コレラ菌体で産生されるIgE抗体産生を抑制した. しかし免疫前にIF30で感作するとIgM抗体産生をも抑制した. vibriocial抗体産生はIF30感作によって促進された. またIF30感作はオバアルブミンによるIgE抗体産生をも抑制し, IgM抗体産生を促進したが, IgG抗体産生には影響がなかった. またもう一方の菌体成分IF52の感作は抗原非特異的にIgE抗体産生を促進した.
更に経口感作と腹腔内感作の組み合わせを行った場合について検討した. 最初にIF30を経口感作し, その後IF30を腹腔内感作した場合に, IF30の腹腔内感作のみよりも強くIgE抗体産生を抑制し, IgM抗体産生を促進した. そしてIgG抗体産生には作用をおよぼさなかったが, vibriocidal抗体産生を促進した. これらの結果はIF30が抗原非特異的にIgE抗体産生を抑制し, また単一経路だけではなく, 経口と組み合わせて感作することによって, より効果的にIgE抗体産生を抑制しながら, 感染防御に有意な抗体産生を促進することを示している.

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